ハワイアンソングの歌い方|心を揺さぶる歌声の秘密と、今日からできる練習法
アロハ!この記事を開いてくださったあなたは、きっとハワイの音楽に心を奪われた経験があるのではないでしょうか。心地よいウクレレの音色にのせて、優しく、そして力強く響くあの歌声。自分もあんな風に歌えたら…なんて、夢見てしまいますよね。
わかります、その気持ち。私がハワイアンソングの虜になったのは、マウイ島のハナという小さな町でのこと。夕暮れのビーチで、地元のおじさんが一人、ポツンとウクレレを弾き語っていたんです。それは有名な曲ではなかったけれど、彼の歌声には、その土地の歴史や、人々の祈り、そして雄大な自然のすべてが溶け込んでいるように感じられて、思わず涙がこぼれました。
「ハワイアンソングの歌い方」と一言で言っても、単なるテクニックだけではあの響きは生まれません。この記事では、私がたくさんの失敗をしながら見つけてきた、ハワイの魂(アロハ・スピリット)を声にのせるための秘訣を、余すところなくお伝えします。さあ、一緒に魂が喜ぶ歌の旅へ、出発しましょう!
なぜ私たちはハワイアンソングに惹かれるの?その魅力の源泉
ハワイアンソングを聴くと、どうしてこんなにも心が安らぐのでしょう。それは、メロディーの美しさだけではありません。歌の背景にある深い物語と、ハワイの自然への愛が、私たちの心に直接語りかけてくるからです。
ハワイの歌(メレ)は、単なる音楽ではなく、神話や歴史、愛する人への想いを語り継ぐための大切な手段。歌詞の一言一句には、花や風、雨、山の名前など、具体的な情景が織り込まれています。それを知ると、歌が立体的に立ち上がってくるんです。

例えば、カウアイ島出身のケアリイ・レイシェルの歌声。彼の歌を聴くと、まるで霧深い渓谷に佇んでいるような、神聖な気持ちになりませんか?それは彼が、言葉の持つマナ(魂・力)を深く理解し、一つひとつの音を大切に、祈るように紡いでいるから。歌うことは、ハワイの文化そのものに触れる、尊い体験なのです。
基本の「き」:ハワイの風を声に乗せるための3つのステップ
さあ、ここからは具体的な練習法です。難しく考えず、まずはハワイの心地よい風を体に取り込むイメージで始めてみましょう。
Step 1:波のような呼吸「腹式呼吸」
すべての基本は、深い呼吸から。フラのレッスンでクム(先生)がいつも言うのは、「呼吸は海の波のようにね」という言葉。おへその下あたり(丹田)を意識して、鼻からゆっくり息を吸い込み、お腹を風船のように膨らませます。
そして、口から「ふぅー」っと、遠くのロウソクの火を消さないように、細く長く、一定の力で息を吐き続けます。これが、ハワイアンソング特有の、優しくて伸びやかなロングトーンの土台になるんです。まずは1日5分、この呼吸を意識するだけでも、声の安定感が格段に変わってきますよ。
Step 2:ハワイ語の響きをマスターする「母音の発声」
ハワイ語の母音は「a, e, i, o, u」の5つ。日本語と似ていますが、より明るく、オープンに響かせるのがポイントです。

「a(ア)」は口を大きく開けて、「e(エ)」は少し横に引いて、「i(イ)」は笑顔で、「o(オ)」は口を丸く縦に、「u(ウ)」は唇を突き出すように。この5つの音を、先ほどの腹式呼吸に乗せて「あー、えー、いー、おー、うー」と、音の高さや長さを変えながら練習してみましょう。まるで、声で身体をマッサージするような感覚です。
Step 3:心を伝える「感情の解放」
テクニック以上に大切なのが、歌詞の世界に入り込むこと。まずは日本語訳を読んで、その歌がどんな物語を伝えているのかを知りましょう。愛の歌なら、大切な人を思い浮かべて。自然を讃える歌なら、ハワイの壮大な景色を心に描いて。
最初は少し恥ずかしいかもしれませんが、自分の声をスマホで録音して聴き返すのが、上達への一番の近道。客観的に聴くことで、「ここはもっと優しく歌おう」「ここはもう少し力強く」といった発見がたくさんあります。自分の声と向き合う、大切な時間です。
一歩ずつ、憧れの歌声へ。レベル別ステップガイド
焦らなくて大丈夫。あなたのペースで、歌うことの楽しさを味わっていきましょう。
【初心者さん】まずは1曲、お気に入りを見つけよう
まずは、メロディーがシンプルで、誰もが知っている曲から始めるのがおすすめです。「Aloha ʻOe」はもちろん、「Ka Uluwehi O Ke Kai」や「Pearly Shells (Pūpū A ʻO ʻEwa)」なども、歌いやすくて心が弾む名曲です。

YouTubeで「曲名 lyrics」と検索すれば、歌詞付きの動画がたくさん見つかります。まずは鼻歌でメロディーを覚えて、少しずつ口ずさんでみてください。カラオケでハワイアンソングのプレイリストを作って練習するのも、楽しいですよ!
【中級者さん】ウクレレと一緒に、ハーモニーに挑戦!
歌に慣れてきたら、ぜひウクレレの弾き語りに挑戦してみてください。自分で奏でる音に乗せて歌うと、感動もひとしおです。最初は簡単なコード3つくらいで弾ける曲から。オンラインのチュートリアル動画も豊富なので、独学でも始められます。
そして、ハワイアンソングの醍醐味といえば、美しいハーモニー!仲間と集まって、主旋律とハモリのパートに分かれて歌うと、まるで音が虹のように重なり合い、世界がパッと色鮮やかになります。地域のサークルやワークショップを探してみるのも良いですね。
【上級者さん】表現の幅を広げ、ステージを目指す
ここまで来たら、あなたはもう立派なシンガー。次は、さらに表現に深みを加えていきましょう。特に、男性が裏声で歌う「ハワイアン・ファルセット(Leo Kiʻekiʻe)」は、ハワイアンソングの華。この独特の歌唱法に挑戦してみるのも、新たな扉を開くきっかけになります。
そして、練習の成果を発表する場として、地域のハワイアンイベントや発表会(ホーイケ)に参加してみてはいかがでしょう。私も初めてステージに立った時は足が震えましたが、お客さんの温かい笑顔と拍手は、何物にも代えがたい宝物になりました。あなたの歌声が、誰かの心を温める。そんな最高の体験が待っています。

ハワイ語の発音、もう少し詳しく:オキナとカハコー
ハワイアンソングをより本格的に歌うために、避けて通れないのが「ʻ(オキナ)」と「¯(カハコー)」という記号です。
「ʻ(オキナ)」は、声門閉鎖音。難しく聞こえますが、日本語の「あっ、しまった」の「っ」のように、一瞬、喉で音を止めるイメージです。例えば「Aloha ʻOe」の「ʻOe」は「ッオエ」と発音することで、リズムが生まれます。
「¯(カハコー)」は、母音の上につく長音記号。その母音をシンプルに、少し長めに伸ばします。例えば「Pua Līlia」の「Līlia」は「リーリア」と、「i」の音を意識して伸ばします。この二つをマスターするだけで、歌がぐっと本格的になりますよ。
練習がもっと楽しくなる!お役立ちアイテム&情報源
私が実際に使ってみて「これは!」と思った、練習の心強い味方をご紹介します。
- 楽譜・教則本:大手楽器店やオンラインで、ハワイアンソングの楽譜集が手に入ります。コード譜だけでなく、歌詞の対訳や背景が解説されているものを選ぶと、理解が深まります。
- お手本CD・音源:ケアリイ・レイシェル、イズラエル・カマカヴィヴォオレ、ナレオ、エイミー・ハナイアリイなど、色々なアーティストの歌を聴き比べてみてください。きっと「この人の歌い方が好き!」という、あなたの目標が見つかります。
- オンラインレッスン:最近では、日本やハワイにいる先生から、オンラインで直接レッスンを受けられます。「ハワイアン ボイトレ オンライン」などで検索すると、自分に合った先生が見つかるかもしれません。
- 歌詞検索サイト:ハワイアンソングの歌詞と英訳を調べるなら「Huapala.org」が有名です。歌の背景を知るのにとても役立ちます。
- 便利なアプリ:音程を確認できるチューナーアプリや、自分の歌を録音できるボイスレコーダーアプリは必須。カラオケアプリ「Smule」などで、世界中の人とデュエットしてみるのも面白いですよ!
まとめ:あなたの声で、あなただけのアロハを奏でよう
ハワイアンソングを歌うことは、単に上手に歌う技術を身につけることではありません。それは、ハワイの雄大な自然と心を繋げ、あなた自身の内なるアロハを表現する旅です。

最初はうまく歌えなくても、歌詞の発音に戸惑っても、まったく問題ありません。大切なのは、歌に込められた物語を感じ、その世界に心を遊ばせること。カウアイ島で出会ったフラのクムが言っていました。「歌は心で感じるもの。テクニックは後からついてくるわ。まずは楽しんで!」と。
今日から、あなたのお気に入りの一曲を、口ずさんでみませんか?窓を開けて、ハワイの風を感じながら。あなたの歌声は、きっとあなた自身を癒し、そしていつか、誰かの心にも温かい光を届けるはずです。
さあ、あなたの人生という舞台で、ハワイアンソングを響かせましょう!心からのアロハを込めて。